健康で明るい未来

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縄文時代の食生活は、現代人に必要な食生活の教えがある

 私はかねてより縄文時代に多大な関心を向けてきました。マンモスを追いかけていた石器時代ののちに現れた縄文時代はなんと約1万年も続きました。よくよく調べてみれば、われわれ現代人の生活の原風景が、すでに形成されていたことが分かります。

 石器時代の移動するテント生活とは違い、竪穴式住居に住み、村を作り、共同生活が営まれていました。村には大きな集会所があり、集落の周りには収穫する木々や、里山まで管理していたと言います。

 船に乗って移動する航海技術を持ち合わせており、日本全国で交易を展開していたことが推察されます。 

 また、亡くなれば墓に埋葬していたし、子供の手や足型を取った土版も発見されているので、宗教のような死に対するある種の概念も持っていたようです。

 1万以上も前から、今の日本人の生活の原型は形成されていたことになります。平均寿命は30歳くらいで、長寿の人は60歳くらいまで生きていたとのこと。

 いったい彼らは何を食べ、どんな体だったのかを考えると興味は尽きませんね。彼らの食生活が明らかになれば、私たち日本人にとって、何を食べれば体に合うのかが見えてくるような気がします。一緒に考えてみましょう。

 

 

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縄文人、弥生人、現代人の顔

縄文人と現代人の体形の比較

日本人はもともと小さかったわけではない

 縄文人の男性平均身長は158cm、女性平均身長は149cm。弥生時代に入ると更に伸び、古墳時代には男性平均身長163cm、女性平均身長152cmに。そしてそれをピークとして、平安以降は下がってゆくのです。

 平安時代初期の男性平均身長は161cmでしたが、末期には157cmに。更に時代下って江戸時代になると、人々の平均身長は男性で155cm~156cm、女性で143~145cmと日本史上最も低い値をマークします。

 男性に限って言えば、江戸時代はピークの古墳時代に比べて8cm以上小さくなっているというわけです。これはいったいなぜなのでしょうか。

 

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石器時代から現代までの身長の推移

 

 

 

その原因は?

 鎌倉~江戸期の低身長化には様々な原因が考えられますが、その中の1つは「動物性たんぱく質の不足」だと言われています。鎌倉時代に「肉食禁止令」が出されて以降、明治時代まで獣肉があまり食べられていなかった事などから、動物性たんぱく質が欠乏し、骨の成長の停滞につながったというのです。

 反対に、弥生~古墳時代に平均身長が大きく伸びた背景としては、1つには大陸から渡来人がやって来た事があります。元来の日本人より背の高い渡来人の血が加わった事で大きく身長が伸びたのです。また、当時は獣肉に加えてコメを安定して食べる事ができたため、結果として身長が伸びたようです。

 やはり、体の形成と食生活は、切っても切れない深い関係性があったということは言うまでもありません。

 

縄文時代と現代人の食生活の比較

縄文時代の主食は植物

 縄文時代の大きな特徴は土器を使用するようになったということです。土器の使用によって人間の調理方法は大きな変化を遂げました。石器時代は焼く、天日干し、燻製にするくらいしか調理方法はなかったのですが、土器の登場によって煮る、茹でるなどの調理ができるようになり、食べ方の幅が広がりました。

 ドングリに含まれるデンプン類は、生のままだと消化できなかったものが、煮炊きによって消化可能になりました。他にも、植物には毒成分の「アク」が含まれたものがあるのですが、これも煮炊きで取り除く事が出来た。

 縄文時代といえば、狩猟や漁労で捕まえた動物を食する肉食的なイメージが強くありますが、野生動物の確保はそう容易くありません。その為、確実に収穫できる野山の植物の方が“主食”であっただろうと考えられます。

 植物の次に多く食べられていたのは魚です。この当時鮭は日本全国の川を遡上していたようで、その骨は全国で発見されています。また、現代とほとんど変わらないモリや釣り針を使い、ブリ、サバ、イワシ、スズキ、鯛、ヒラメ、フグ、サメまで獲っていました。

 

縄文人が使っていた調味料

 この時代の調味料を調べて見ると、塩を使うことはなかったと言います。その代わり、イワシの内臓で作った魚醬のようなものを調味料としたり、貝を煮て干したものを利用していたのではないかとみられています。

 山椒を使っていた痕跡もあり、食材が豊富な上、味付けにもこだわっていたことが伺えます。

 さらに、彼らは石皿と磨石を使って粉上にしたクリやクルミなどの木の実、シカやイノシシなどのミンチ肉、動物の血や卵、地域によっては蜂蜜やユリ根なども入れて混ぜ合わせ、熱した石の上で焼いて作った「縄文クッキー」も食べていたようです。

 

 キイチゴやヤマブドウで作った果実酒も飲んでいたことが確認されています。

 

現代人と縄文人の主食の比較からわかること

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 縄文時代に主食として食されていたのは、炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質、食物繊維を多く含んでいる粟、クルミ、ドングリなどの木の実でした。現代の主食である白米と比較してみると、食物繊維やビタミンB1が多いことが分かります。

 意外なことに、縄文人は虫歯が多かったようです。虫歯は糖やでんぷんが口の中の細菌によって分解され、歯が解けることによって発生します。そのため、植物性の食品を多く摂るほど、虫歯は発生する率が高くなるのです。

 

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縄文人を通して知る日本人に合った食生活とは

日本食は、縄文時代からほとんど変わっていない 

 私たち日本人のルーツは何でしょうか?古くから住んでいた縄文人と、大陸からの渡来人が徐々に混血していき現代の日本人になっていったという説が支持されています。

 しかし、国立科学博物館の神澤秀明氏らの研究では、現代の日本人が、より縄文人のDNAを強く受け継いでいることが証明されました。

 縄文時代と同じ頃、大陸では食用の牛、豚、アヒルの飼育が始まっていました。しかし、この習慣が日本で広がりませんでした。

 おそらく、周囲を海に囲まれ、太平洋側でも日本海側でも寒流と暖流がぶつかり合い、漁業資源が豊富だったし、日本中の川ではさまざまな淡水魚が捕れたので、わざわざ動物を育てて肉を食べる必要がなかったからです。

 食生活の面で見れば、日本人は中国人や韓国人とは全く違う習慣を確立してきたことが分かります。

 

縄文人は意外と長生きだった

 縄文人は木の実や魚、獣肉、山菜などから炭水化物(糖質)やたんぱく質、脂質、食物繊維、ビタミン類を取っていたので、栄養バランスがとても良かったことが伺えます。加えて、狩猟生活で体を動かすことも多かったので筋肉が発達していました。

 男性の平均身長は158cm、女性は149cmと現代人よりは少し小柄ですが、骨太のしっかりとした骨が出土されています。

 平均寿命は30歳前後でしたが、約3割は60歳を超える長寿者もいたとのこと。もし医療体制が整ってさえいれば、彼らはもっと長生きできたに違いありません。

 動物の肉や加工食品よりも、野菜や魚中心の食生活が日本人の健康にはふさわしい食生活と言えるのではないでしょうか。1万年前の縄文人の食生活、もう一度注目してみましょう。