今日は2020年4月11日、緊急事態宣言が発令されてから最初の週末です。見えない新型コロナウイルスとの戦いは、相手の正体がわからないだけに、心身ともに疲弊してしまいますね。新年度とともに心機一転!と、心に誓っていた方も多くいらっしゃったことでしょうから、出鼻をくじかれた感じですね。
一方で、改めて健康の尊さを実感させられますね。外出の自粛が求められる今、この機会に、改めて自身の健康を見つめてみましょう。
「老化は血管から」とよく言われます。血管の老化はどんな風に始まり、どんな問題が発生するのか、その対策は?について、お伝えします。
血管は55歳から一気に老化する
血液が全身を循環しながら酸素や栄養素を運び、老廃物を回収するという一連の活動が円滑になされれば、人間の身体を活力あるものとしてくれます。この血液の通り道である血管が渋滞を起こさなければ、すべてスムーズに流れるのです。
すなわち、血管力(血管の状態)を高めることができれば、健康を手に入れることができるのです。
血管の柔軟性を左右するのが血圧、その次がコレステロール
しなやかで弾力のある赤ちゃんの上の血圧(最高血圧値)は100mmHgです。それが加齢とともに血管は弾力性を失い、固くゴワゴワした状態になっていくので血圧が高くなってくるのです。この血管の固さに変化がみられるのが、平均して55歳くらいだと言われています。
この血管が老化し、ゴワゴワした状態になることを「動脈硬化」と言います。動脈硬化が起こると、血管は固くなり、もろくなり、弱くなっていきます。古くなったホースを思い起していただければと思います。
血液がドロドロかどうかは、コレステロールや脂質の数値で分かります。正常範囲より高くなっていれば、それだけ血管年齢が高くなってきている証拠です。
健康診断の結果が返ってきたら、毎回、必ずこれらの数値はチェックしてください。
日本人の4分の1が血管死


日本人の死因の第一位は悪性新生物(がん)27.9%ですが第二位は心疾患(心臓)15.3%、第三位は脳血管疾患で8.2%(厚生労働省2017年人口動態調査)と、約4分の1は血管死となっています。
動脈硬化の状態になると、血圧が高くなります。血圧が高くなると、心不全・脳梗塞・腎硬化症など、さまざまな弊害が体のあちこちに発生します。
●血管の病気は大きく分けると「血管が破れる病気」「血管が詰まる病気」の2種類
「血管が破れる病気」リスクが高い人
◇血圧が高い(特に下の血圧が90mmHg以上)
◇背中やお腹が痛い
◇あお向けになると、へその下辺りに脈を打つしこりに触れる
「血管が詰まる病気」リスクが高い人
◇足の痛みで立ち止まりながらでなければ歩けない
◇足に傷ができても治らない
◇安静時でも足が痛い
◇ときどき意識消失がある
◇脳梗塞の既往がある
いかがでしたか?心当たりのある方は、病院の診察を受けてみてください。
●ある日突然血管が破れる
「大動脈瘤破裂」
胸やお腹あたりの大動脈の老化が進み、血管の壁が膨らんで大きなこぶのようになり、ついにはそこが耐えられなくなって破裂し、出血します。少しずつ大きくなるので自覚症状がなく、破裂と同時に大出血し激しい痛みとともに発作を起こし、かなりの確率で死亡します。
「脳出血」
脳には非常に細い血管があります。脳出血の原因は、その血管に顕微鏡で見なければわからないような瘤が出来、ある日突然それが破れて出血します。これも非常に脂肪率が高い病気です。
●動脈が詰まると認知症や心筋梗塞に
血管に瘤が出来ても切れないケースがあります。その代わり詰るので、血液が流れなくなり、その先の組織や細胞が死んでしまいます。この状態を「梗塞」と言います。
「脳梗塞」
ほとんどの場合は小さな血管が詰まる小さな脳梗塞です。歩く、話す、飲み込むなどが上手くできなくなる運動障害や、認知症となったりします。
「心筋梗塞」
血流が途絶えて心臓の筋肉が壊死し、「焼け火箸を心臓に差し込まれた」ような強烈な痛みに襲われます。この痛みは30分以上続き、呼吸困難や意識障害、吐き気、冷や汗などの症状が出ます。心筋梗塞は急性のことが多く、死亡率の高い病気です。
心筋梗塞の前段階が「狭心症」です。
あなたは自分の血管年齢を知っていますか?
血管年齢とは、血管の硬さをいいます。自分は若い、健康だ、と思っていても、気付かぬうちに血管 が老化していることもあります。以下の項目のチェックする数を確認してみてください。


血管老化の原因
血管の老化を促進する要因としては、糖尿病、高血 圧、脂質異常症、喫煙、肥満、ストレスなどがありま す。
血管年齢チェック項目
◇階段を上ると、胸が締め付けられることがある
◇インスタント食品や脂っこい食事を好んで食べる
◇LDL (悪玉)コレステロール値が高い
◇血糖値が高い
◇血圧が高い
◇最近物忘れが激しくなった
◇親や兄弟に、心筋梗塞や脳卒中で倒れた人がいる
◇手足が冷たく、痺れを感じる
◇学校を卒業してから運動らしい運動をしていない
◇責任感が強く、仕事や家事などで手を抜くことができない
◇1日の喫煙本数 × 喫煙年数が400以上になる
さあ、いくつチェックがつきましたか?チェック項目の数で血管年齢が分かります。血管年齢の高い方は、日常生活見直しに努力してください。
0~4・・・血管年齢は年相応
5~8・・・実年齢+10歳
8~12・・実年齢+20歳
血管の状態を確認する計算方法
平均血圧 = 最低血圧 +(最高血圧-最低血圧)÷ 3
90以上であれば細い血管が硬い傾向
脈圧 = 最高血圧 - 最低血圧
正常範囲を超えると太い血管が硬い傾向です。※40~60 が正常範囲
血管の老化を抑えるためには
動脈硬化によって大切な日常生活を損なわないようにするための対策を考えてみましょう。
動脈硬化の改善・予防のためには、「食事」「運動」「ストレス対策」「睡眠」といった生活習慣の改善が大前提となります。
食事
①野菜中心の食事を心掛ける
②たんぱく質を摂る
③炭水化物は少量に抑える
運動
強い血管のためには、息が切れず緩やかに継続できる有酸素運動が有効です。有酸素運動で血流が良くなれば、血管の内側にある内皮細胞の働きが活性化され、内皮細胞が活性化すれば血管内の一酸化窒素が分泌されて血管をしなやかにします。
一酸化窒素は、血管を詰まらせる原因となる“こぶ”を小さくする働きもあります。
強い血管をつくる歩きかた
・肩の力を抜いてリラックス
・あごを引いて目線は真正面に
・背筋を伸ばす
・ひじは直角に曲げて手のひらは軽く開く
・腕は自然に振る
・前足を振りだしてひざを伸ばす
・親指で地面を蹴って次の一歩へ
1日30分〜1時間程度行うのがベストですが、10分ずつ細切れに歩いてもよいでしょう。軽いサイクリングや、軽い水泳もおすすめです。
日頃のストレッチで脚の筋肉をしなやかにしておくことも大切です。また、深呼吸や背伸びは脳をリラックスさせる効果があり、血圧の安定に役立ちます。気が向いた時に行うクセをつけておきましょう。
ストレス対策
ストレスにさらされている状態が続くと、体はさまざまなダメージを受けてしまいます。「日中受けたダメージを解消できず、夜間でも交感神経の優位が続くと、血管が収縮して血圧が上昇します。
また、血流がスムーズさを失うことで血中に血栓ができやすくなり、さらに血管のバリア機能も低下して、動脈硬化のリスクが高まります」と言います。血管の健康を維持するためには、受けたダメージをいかに癒すかが大切です。
睡眠
体を癒すために最も大切なのは「睡眠」です。日中に受けたダメージを修復するのは、主に睡眠中に分泌される成長ホルモンです。よい睡眠をしっかりととることは、成長ホルモンの働きを助けて血管の健康を守ります。よい睡眠とは、ノンレム睡眠と呼ばれる深い眠り。成長ホルモンは、寝始めの3時間に最も多く分泌されます。
ほとんどの病気の原因は血管にあります。しかし、血管の病気はわかった時には深刻な病気だったということがほとんどです。手遅れということはありませんので、今からでも、強い血管を作ることに意識を向けてみてください。