年をとると基礎代謝が低下するので太る!というのは間違い?
年をとると基礎代謝が落ちて、太りやすくなると言います。「もうおじさんだから、太るのは仕方ないのかなぁ」と自分を慰めていたのですが、どうもそうではないらしいのです。


島原病院(京都)の肥満・糖尿病センター長、吉田俊秀医師によれば、「中高年の基礎代謝量はピーク時の10~20代に比べても、せいぜいごはん1杯分ぐらいしか落ちない」とのことです。
50~60代になるとピーク時に比べ、基礎代謝量が男性では190キロカロリー、女性では250キロカロリー落ちることになるのです。男性で約12%、女性は約19%も落ちるわけですから、大きな変化のような気がします。
ところが、ごはん1杯分のカロリーが、なんと普通盛り140gで235キロカロリーもあるのです。つまり、基礎代謝量は若い時と比べても、ごはん1杯分ぐらいしか落ちていないのです。
ということは、中高年は1日にごはん1杯分ぐらいカロリーを減らさなければ、必然的に太ってしまうということになります。
筋肉をつければ基礎代謝は上がるというのは本当か?
上のグラフを見ればお分かりのように、基礎代謝に占める筋肉の割合は39%、内臓は40%、その他で21%です。筋肉も年齢とともに低下していきますが、それほど大きく影響を与えるものではなさそうです。
もちろん、基礎代謝量は体格や筋肉量によって変わってきますので、若い時と同じぐらい食べても、太らない人はいるでしょう。ですが、ぽっこり、ぽっちゃりのみなさんは、食べる量を減らせていますか?
結局は食べ過ぎということになります。中高年になると仕事上での会食の機会が増えたり、経済的に余裕が出てぜいたくすることも増えるのではないでしょうか。それに、昔と比べてコンビニなどでスナック菓子やスイーツが簡単に手に入るようになりました。若い頃と同じように食べていたら、太ってしまうのは当たり前なんです。
若々しい体形に近づくためにできることは何?
「若く見える体形は?」というと、加齢変化とは逆に若い世代の平均的な体形特徴を参考にすると答えが見えてきます。
◎男性:全身の脂肪率は低いが筋肉量が多いので細くはなく、特に腕や脚はガッチリしており、お腹はまだ脂肪が少なく締まっています。
⇒ 男性の体形の変化で顕著なのは「腕、脚の筋肉量の減少」。
◎女性:ウエスト周りや腕、肩は細く華奢ですが、腰周りや太腿には脂肪が付いていて健康的。
⇒ 女性の体形の変化で顕著なのは「上半身の脂肪の増加」。
若い世代は筋肉のつき方や脂肪の分布に男女差があって体形も男女で大きく異なりますが、年齢を重ねると男女差があまり見られなくなって男女とも「丸くなる」傾向にあります。
20代 50代
やはり、中高年になって太ってしまった人は、基礎代謝量が落ちたからと言い訳せずに、食べ過ぎ、飲み過ぎを反省したほうがよさそうです。
太り過ぎは高血圧や糖尿病などを招くことがあります。それに、肥満を放置していると、60代、70代になって、ひざや腰を悪くしてしまうことが多いのです。すると、余計に歩かなくなるので、高血圧や糖尿病が改善せず、ますます健康を害してしまうことになります。
ですから、太り過ぎを自覚している人や、血圧や血糖値が高めの人、ひざや腰に痛みがある人は早いうちに、体重を減らしておいたほうがいいのです。
軽症の高血圧や初期の糖尿病であれば、なんと1ヵ月に体重のたった3%落とすだけで、数値がよくなることが多いのです。また、ダイエットすれば、ひざや腰にかかる負担が少なくなり、痛みが改善する人も少なくありません。
体重の3%とは、100kgの人であれば3kg、70kgであれば約2kgにあたります。1ヵ月に、まずはこれだけ減らせば、健康に一歩近づくのです。2~3kgの減量なら、なんとかなりそうな気がしますよね。